ガロア理論の講義(OCW)を要約する:第1回(10月7日)

京都大学OCWで、3回生向けに後期に行われたガロア理論の講義が公開されています。(だいぶ前になってしまいましたが) 運営組織の廃止に伴いOCWの廃止も検討されたようですが、少なくとも公開済みのコンテンツは残るようです。

岡清はガロア理論を勉強していなかったと本で読んだことがあり、何を勘違いしたのかそれに感化されて、私は学生時代ガロア理論の勉強をサボっていました。社会人になって改めてガロア理論を勉強しようと思い、OCWの講義動画を見てみました。内容はすごく面白いのですが、前期の内容を前提にしているのと私の方程式論の知識不足により、所々補足が欲しいという印象でした。また、講義をみるための纏まった時間が取れず、途中まで見て断念して、また最初から見る羽目になってしまいました (2敗)。

そこで、自分用のメモを兼ねて、講義の要約と補足をしようと思います。これによって時間がない社会人でも講義が見やすくなればと思います。

基本的には定義、命題等はなるべく講義の通り記すこととし、証明や例については概略と、必要があれば補足を記すこととします。また、講義で既知のものとして省略されたものは、なるべく補足するようにします。これにより、この記事を見れば講義の大まかな流れが掴めるようにします。証明や例の詳細が知りたい場合は動画を見ていただくこととします。

第1回は2限目と3限目の両方で講義をしていて、動画が分かれています。本記事では、両方の動画の要約をします。

  1. ガロア理論の講義(OCW)を要約する:目次
  2. ガロア理論の講義(OCW)を要約する:第1回(10月7日)←今回
  3. ガロア理論の講義(OCW)を要約する:第2回(10月14日)
  4. ガロア理論の講義(OCW)を要約する:第3回(10月21日)2限
  5. ガロア理論の講義(OCW)を要約する:第3回(10月21日)3限
  6. ガロア理論の講義(OCW)を要約する:第4回(10月28日)
  7. ガロア理論の講義(OCW)を要約する:第5回(11月4日)
  8. ガロア理論の講義(OCW)を要約する:第6回(11月11日)
  9. ガロア理論の講義(OCW)を要約する:第7回(11月18日)
  10. ガロア理論の講義(OCW)を要約する:第8回(12月2日)
  11. ガロア理論の講義(OCW)を要約する:第9回(12月9日)
  12. ガロア理論の講義(OCW)を要約する:第10回(12月16日)
  13. ガロア理論の講義(OCW)を要約する:第11回(1月6日)
  14. ガロア理論の講義(OCW)を要約する:第12回(1月13日)
  15. ガロア理論の講義(OCW)を要約する:第13回(1月20日)
  16. ガロア理論の講義(OCW)を要約する:第14回(1月27日)

2限

講義の概要 (00:00 ~)

  • 方程式論の歴史についての話。
    • 3次、4次方程式の解の公式はいずれ講義で行うとのこと。
    • 5次方程式の解の公式は存在しない。それは最初にアーベルによって示された。
    • 講義ではその証明をガロア理論を用いて行う。
    • アーベルの証明は [高木] に載っている。
  • ガロア理論
    • ガロア理論とは、体の拡大の間にある拡大とガロア群の部分群の対応についての理論。
    • 代数学の基礎になっている。例えばフェルマーの定理にも関係している。
    • 作図問題についても講義で行う。
  • その他、約束事のまとめ
    • $\mathbb{N} = \{0, 1, 2, \cdots \}$ は自然数全体の集合。$0$ を含むものとする。
    • $\mathbb{Z}$ を整数、$\mathbb{Q}$ を有理数、$\mathbb{R}$ を実数、$\mathbb{C}$ を複素数とする。
    • 講義中は以下のように略記する (この記事では略記しません)。
      • 定義を $\mathrm{Def}$
      • 補題を $\mathrm{Lem}$
      • 命題を $\mathrm{Prop}$
      • 定理を $\mathrm{Th}$
      • 証明を $\mathrm{pf}$
      • 問題、例題を $\mathrm{Prob}$
      • 例を $\mathrm{Ex}$
      • 予想を $\mathrm{Conj}$
      • 系を $\mathrm{Cor}$ (ここでは述べられませんでしたが、2日目以降で使われます)

群・環・体の定義 (24:39 ~ )

群・環・体の定義は標準的なものなので省略。講義では、環と言えば可換環を意味することとしています。

稀に結合法則を満たさない環を考えることがあるらしい (ジョルダン代数)。講義中では出てこないと思われる。リー群の $E_8$ は、ある結合法則を満たさない環の自己同型群と同型になるらしいです。

環論の補足 (38:07 ~)

多項式の既約性の判定のために幾つか補足を行います。

(補足) 整域、商体の定義

整域、商体の定義は講義中で省略されているので、本記事では簡単に補足します。

可換環 $A$ が整域であるとは、$a, b \in A$ が $ab = 0$ を満たすならば、必ず $a = 0$ または $b = 0$ が成り立つことを言います。例えば $\mathbb{Z}$ は整域ですが、$\mathbb{Z} /4 \mathbb{Z}$ は $2 \cdot 2 = 0$ なので整域ではありません。

$A$ を整域とします。$A$ の商体 $K$ を

$$K = \left\{\frac{a}{b} \mid a, b \in A, \ b \neq 0 \right\}$$

とします。ただし、$ad = bc$ のとき $a/b = c/d$ とします。つまり通分して等しいものは等しいとみなします。$K$ には普通の分数のように和と積を定義できて、それにより体となります。例えば $\mathbb{Q}$ は $\mathbb{Z}$ の商体です。

正規環について

$A$ を整域、$K$ をその商体とします。$x \in K$ が、$A$ 係数のモニックな多項式 (最高次の係数が $1$ の多項式) の根であるとき、つまり

$$x^n + a_{n-1} x^{n-1} + \cdots + a_1 x + a_0 = 0$$

を満たす $a_i \in A \ (0 \leq i \leq n-1)$ が存在するとき、$x$ は $A$ 上整であるといいます。

定義. 正規環 (整閉整域) (39:27 ~)

$A$ を整域, $K$ をその商体とする. $x \in K$ が $A$ 上整ならば常に $x \in A$ を満たすとき, $A$ を正規環または整閉整域という. $\Box$

なぜ整という概念を考えるか、についての補足を 43:36 あたりからお話しされていますが、よくわからないので省略します。

ユークリッド環 $\Rightarrow$ PID (単項イデアル整域) $\Rightarrow$ UFD (一意分解整域) $\Rightarrow$ 正規環という関係が成り立ちます。これは前期の講義で証明しているので省略するとのことです。別の記事で解説しているので、気になる方は以下をご覧ください。

ユークリッド整域 ⇒ 単項イデアル整域 ⇒ 一意分解整域 ⇒ 正規環の証明

$k$ 代数と $k$ 準同型の定義 (48:43 ~)

$k$, $A$ を環とします。準同型 $k \to A$ が与えられているとき、$A$ は $k$ 代数であるといいます (この準同型により $a \in k$, $x \in A$ に対して $ax \in A$ が定まる)。$k$ 代数 $A, B$ の間の準同型 $\varphi: A \to B$ が $k$ 代数の準同型であるとは以下の図式が可換であることをいいます。

\[ \xymatrix{ k \ar[r] \ar@{=}[d] & A \ar[d]^{\varphi} \\ k \ar[r] & B } \]

3限

多項式の規約性の判定 (0:00:00 ~ )

$k$ を可換環としたとき、$k[x]$ は (自然な単射 $k \to k[x]$ により) $k$ 代数になります。$A$ を $k$ 代数としたとき、$A$ の $k$ 代数としての自己同型群 ($k$ 自己同型群ともいう) を

$$\operatorname{Aut}_k^{al} A$$

と表します。右上の $al$ がない場合、つまり $\operatorname{Aut}_k A$ は $k$ 加群としての自己同型を表すようです。同様に $\operatorname{Hom}^{al}_k(-, -)$ は $k$ 代数の準同型 ($k$ 準同型ともいう) を表すものとし、$\operatorname{Hom}_k(-, -)$ は $k$ 加群の準同型を表すものとします。(例えば $k[x]$ において、$ax^2$ を $ax$ に移し、それ以外はそのままにする写像は $k$ 加群の準同型ですが、 $k$ 代数の準同型ではありません。)

命題. $k$ 自己同型による変換 (3:15 ~ )

$\varphi: k[x] \to k[x]$ を $k$ 自己同型とする. このとき, $f(x) \in k[x]$ が既約 $\Leftrightarrow$ $\varphi(f(x))$ が既約.

(証明の概略) :

$\varphi$ は単元を単元に移す。$\varphi(f(x)) = g(x)h(x)$ とすると

$$f(x) = \varphi^{-1}(g(x))\varphi^{-1}(h(x))$$

なので $\varphi(f(x))$ が既約ならば $f(x)$ も既約。逆は $\varphi^{-1}$ を考えれば良い。 $\Box$

$k$ の単元の集合を $k^{\times}$ と表し、$k$ の乗法群といいます。

系. (6:39 ~ )

$f(x) \in k[x]$ が既約で, $a \in k^{\times}$ ならば, $f(ax + b)$ も既約.

(証明 (補足)) :

$f(x) \mapsto f(ax + b)$ は $k$ 準同型であり、$f(x) \mapsto f(\frac{1}{a}x -\frac{b}{a})$ が逆を与える。 $\Box$

定理. アイゼンシュタインの判定法 (7:50 ~ )

$A$ を UFD, $K$ をその商体とする. このとき,

$$f(X) = a_0 X^n + \cdots + a_n \in A[X]$$

は, 素元 $p \in A$ が存在して, $a_0$ が $p$ で割り切れず, $a_1, \cdots, a_n$ が $p$ で割り切れ, $a_n$ が $p^2$ で割り切れなければ, $K[X]$ において既約である. $\Box$

証明は省略されています。証明を知りたい場合は、例えば以下をご参照ください。

多項式の既約性とアイゼンシュタインの定理 (大学数学の授業ノート)

(上の定理の条件を満たす多項式をアイゼンシュタイン多項式といいます。)

例. アイゼンシュタインの判定法の応用 (9:42 ~ )

(概略) $A = \mathbb{Z}$, $K = \mathbb{Q}$ としたとき、

$$f(x) = x^3 + 4x + 2 \in \mathbb{Z}[x]$$

は $p = 2$ に対してアイゼンシュタインの判定法の条件を満たすので $\mathbb{Q}$ 上既約。次に、$A = \mathbb{C}[t]$, $K = \mathbb{C}(t)$ とし、

$$f(x) = x^3 -t^2x + t \in A[x]$$

を考える。$t$ は $A$ の素元なので、$p = t$ として $f(x)$ はアイゼンシュタインの判定法の条件を満たし、$f(x)$ は $K$ 上既約である。$\Box$

以下の命題は、$A$ が正規環のときも成り立つようですが、とりあえず $A$ が UFD のときに示して、後で正規環のときの証明を行うようです。

命題. (12:37 ~ )

$A$ を UFD, $K$ をその商体とする. $f(x) \in A[x]$ はモニックであるとし、$g(x), h(x) \in K[x]$ で, $\deg g(x) > 0$ かつ $\deg h(x) > 0$ を満たすものにより

$$f(x) = g(x)h(x)$$

と表されたとする. このとき, モニックな多項式 $g_1(x), h_1(x) \in A[x]$ で,

$$f(x) = g_1(x) h_1(x)$$

かつ

\begin{align} \deg g_1(x) &= g(x), \\ \deg h_1(x) &= h(x) \end{align}

を満たすものが存在する.

(証明の概略と補足) : ある $a \in K$ が存在して、$g_1(x) = ag(x)$ が原始多項式になること、$K[x]$ において $f(x)$ が原始多項式 $g_1(x)$ で割り切れるなら、$A[x]$ においても $g_1(x)$ で割り切れることを用いて証明しています。後半の事実はガウスの補題から導かれます。例えば

UFD 上の多項式環 (大学数学の授業ノート)

を参照してください。$\Box$

この命題から、モニック多項式 $f(x)$ が $\deg f(x) = n$ を満たし、可約である (つまり既約でない) ならば、$f(x) = g(x)h(x)$ と分解したときに、$\deg g(x) = l$, $\deg h(x) = m$ とおけば、$n = l + m$ が成り立ちます。$n = 2$ ならば、$l = 1$, $m = 1$, $n = 3$ ならば、$l = 2$, $m = 1$ の場合しかないので、必ず 1 次因子を持ちます。$n = 4$ の場合は $(l, m) = (3, 1), (2, 2)$, $n = 5$ ならば $(l, m) = (4, 1), (3, 2)$ の場合があるので、1 次因子を持つとは限りません。

命題. (22:33 ~ )

$A$ を UFD, $f(x) \in A[x]$ はモニックであるとする. このとき

$$f(x) = x^n + a_1x^{n-1} + \cdots+ a_n$$

が 1 次因子を持てば, $f(x)$ は $a_n$ の約元を根に持つ.

(証明の概略) : 講義中では証明をされていますが、ほぼ明らかだと思います。$\Box$

例. (26:50 ~ )

(概略) $f(x) = x^3 -x +1 \in \mathbb{Z}[x]$ は 3 次かつモニックなので、可約ならば 1 の約元を根にもちます。それにより $\mathbb{Q}$ 上既約であることがわかります。$A = \mathbb{C}[t]$, $K = \mathbb{C}(t)$ とします。

$$f(x) = x^3 + x^2 + t^2 x -t \in A[x]$$

はモニックで、アイゼンシュタインの判定法の条件を満たしません。もし $f(x)$ が可約ならば $-t$ の約元を根に持ちますが、それにより $f(x)$ は $\mathbb{C}(t)$ 既約であることがわかります。$\Box$

既約性の判定法はもう一つあります。その前に、なぜ既約性の判定法が重要なのかというと、後に述べる体の拡大次数を決定するのに、多項式の既約性を示す必要があります。

命題. 素イデアルを法とする多項式との関係 (34:00 ~ )

$A$ を UFD, $K$ をその商体とする. $\mathfrak{p} \subset A$ を素イデアルとし, $f(x) \in A[x]$ に対して, $\mathfrak{p}$ を法とした多項式を $\bar{f}(x) \in (A / \mathfrak{p}) [x]$ と表す. $f(x)$ はモニックで, $\deg f(x) = n$ とする. このとき, $\bar{f}(x)$ が $(A / \mathfrak{p}) [x]$ が次数 $m < n$ の因子を持たないならば, $f(x)$ も $m$ 次の因子を持たない.

(証明の概略) : $f(x)$ が $m$ 次の因子をもつとき、$\bar{f}(x)$ が $m$ 次の因子をもつことを示せば良いです。( $\mathfrak{p}$ が素イデアルである必要はない気がします。) $\Box$

ちなみに、逆は成り立ちません。つまり、$f(x)$ が $m$ 次因子を持たず、$\bar{f}(x)$ が $m$ 次因子を場合があります。それは次の例からわかります。

例. (40:27 ~ )

(概略) 次の多項式

$$f(x) = x^4 + x^2 -x +2 \in \mathbb{Z}[x]$$

が既約であることを示します。1 次因子がないことは、$2$ の約元について調べることでわかります。2 次因子がないことは、先ほどの命題からわかります。$\Box$

これらの方法が使えない場合、例えば $x^4 -x -1$ を

$$x^4 -x -1 = (x^2 + ax +b)(x^2 +cx +d)$$

のようにおいて既約性を判定する場合があります。ちなみに 1 次因子がないことは定数項を見ればわかります。

体の標数とフロべニウス (0:46:15 ~ )

ここからは体論です。

定義. 標数 (46:47 ~ )

$K$ を体とする. 環準同型

$$\varphi: \mathbb{Z} \ni n \mapsto \overbrace{1 + 1 + \cdots + 1}^{n} \in K$$

の核 $\operatorname{Ker}(\varphi) \subset \mathbb{Z}$ は, $K$ が整域 (かつ $\mathbb{Z}$ が PID ) なので, $(0)$ または $(p)$ ($p$ は素数) と表される. $\operatorname{Ker}(\varphi) = (0)$ のとき, $K$ の標数は $0$, $\operatorname{Ker}(\varphi) = (p)$ のとき, $K$ の標数は $p$ であるという. $K$ の標数を $\mathrm{ch}\ K$ と書く.$\Box$

例. (50:20 ~ )

$\mathbb{Q}$, $\mathbb{R}$, $\mathbb{C}$ は標数 $0$ の体. $\mathbb{F}_p = \mathbb{Z} / p \mathbb{Z}$ や $\mathbb{F}_p(x)$ は標数 $p$ の体である.$\Box$

補題. (51:22 ~ )

$K$ を標数 $p$ の体とし, $n > 0$, $q = p^n$ とする. このとき, $x, y \in K$ ならば

$$(x + y)^q = x^q + y^q$$

が成り立つ.

(証明の概略) : 素直に計算する.$\Box$

命題. フロベニウス準同型 (56:17 ~ )

$\mathrm{ch} K = p > 0$ とし, $q = p^n$ とする. このとき,

$$\mathrm{Frob}_q: K \ni x \mapsto x^q \in K$$

は体の準同型である. $\mathrm{Frob}_q$ をフロベニウス準同型という.

(証明の概略) : 和を保つことは先ほどの補題の通り。積を保つことは素直に計算することで示される。$\Box$

体の拡大 (1:00:43 ~ )

定義. 拡大体, 部分体 (1:00:48 ~ )

体 $L$ の部分環 $K$ が体のとき, $L$ は $K$ の拡大体, $K$ は $L$ の部分体であるという. これを $L / K$ と表す.$\Box$

定義. 中間体 (1:02:31 ~ )

$L / K$ は拡大体であるとする. 部分体 $M \subset L$ が

$$L \supset M \supset K$$

を満たすならば, $M$ を $L/K$ の中間体という.$\Box$

体の拡大 $L / K$ に対して, $L$ は $K$ ベクトル空間とみなせます ($L$ の積を忘れる)。

定義. 拡大次数 (1:05:30 ~ )

体の拡大 $L / K$ に対して, $K$ ベクトル空間としての次元

$$\dim_K L$$

を $L$ の $K$ 上の拡大次数といい, $[L:K]$ と書く. $[L:K] < \infty$ ならば有限次拡大, $[L:K] = \infty$ ならば無限次拡大という.$\Box$

例.

$[\mathbb{C} : \mathbb{R}] = 2$.

$K$ を体とする. $[K(x): K]$ は $\{1, x, x^2, \cdots\}$ が $K$ 上 1 次独立なので, 無限次拡大. 実は $K(x)$ の基底の濃度は $K$ の濃度と一致する (演習問題) ($K$ が代数的閉体ならば、おそらく $\frac{1}{x-a}$ $(a \in K)$ と $x, x^2 \cdots$ 達が基底になると思われる).$\Box$

体の生成 (1:10:02 ~ )

$L / K$ を拡大体とし、$S \subset L$ をその部分集合とします。このとき、$S$ を含む $L$ の部分体の中で、最小のものを $K(S)$ と表します。具体的には $S$ が有限集合の場合、

$$S = \{a_1, \cdots, a_n\}$$

としたとき、

$$K(S) = \left\{ \frac{f(a_1, \cdots, a_n)}{g(a_1, \cdots, a_n)} \ \middle| \ \begin{array}{I} f, g \in K[x_1, \cdots, x_n], \\g(a_1, \cdots, a_n) \neq 0 \end{array}\right\}$$

となります。$K(S)$ が体であることは、和と積をとっても $K(S)$ に含まれること、$0$ でない元に対して分子と分母を入れ替えると逆元になることからわかります。(最小であることは、$f(a_1, \cdots, a_n)$ の形の元が $S$ の元と $1$ の和、積、$K$ 倍で得られること、逆元 $\frac{1}{f(a_1, \cdots, a_n)}$ も合わせると上記のような形になることからわかります。)

$S$ が無限集合の場合は、有限部分集合 $S^{\prime} \subset S$ に関する和

$$K(S) = \bigcup_{S^{\prime} \subset S, |S^{\prime}| < \infty} K(S^{\prime})$$

を取れば良いです。$K(S)$ を $K$ 上 $S$ で生成された体といいます。

$$L \supset M, N \supset L$$

に対して、$M, N$ で生成された体を $M \cdot N$ と表し、$M$ と $N$ の合成体といいます。

体 $K$ は必ず $\mathbb{Q}$ または $\mathbb{F}_p$ を含みます。 $\mathbb{Q}$ および $\mathbb{F}_p$ を素体といいます。

命題. (1:16:47 ~ )

$L_1 = K(S)$, $L_2 \supset K$ を体とし,

$$\varphi_1, \varphi_2: L_1 \to L_2$$

を $K$ 準同型とする. このとき, $\varphi_1$ と $\varphi_2$ が $S$ 上一致すれば, $\varphi_1 = \varphi_2$ となる.

(証明の概略) : $K(S)$ の元の形からわかる。$\Box$

命題. (1:20:43 ~ )

$L / K$ を拡大体, $S \subset K$, $T \subset K(S)$ とする. このとき

$$K(T) \subset K(S)$$

となる.

(証明の概略) : 有理式の有理式は有理式である。$\Box$

拡大次数の性質 (1:22:09 ~ )

命題. (1:22:16 ~ )

$L / M$, $M /K$ を有限次拡大とする. このとき $L / K$ は有限次拡大で,

$$[L:K] = [L:M][M:K]$$

が成り立つ.

(証明の概略) : $\{x_1, \cdots, x_l\}$ を $L / M$ の基底、$\{y_1, \cdots, y_m\}$ を $M / K$ の基底としたとき $\{x_i y_j \mid i, j \}$ が $L / K$ の基底であることを示せば良い。$\Box$

この命題により、例えば $[L : K] = 13$ ならば、$L / K$ は $K$ 上 $4$ 次の中間体を持たないことがわかります。

次回

ガロア理論の講義(OCW)を要約する:第2回(10月14日)

文献等

[高木] 高木貞治. 代数学講義

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