【バドミントン】ダブルスの考え方

これから述べることは、ダブルスではサイドバイサイド(レシーブ)よりトップアンドバック(攻撃)の方がはるかに得点しやすい、という私の経験則が根本にあります。私の感覚では、7:3 ~ 8:2ぐらいでトップアンドバックが有利です。つまり、片方のペアがトップアンドバックで攻撃し続け、もう片方がレシーブしかしない、というルールで同じレベルのペアが10本勝負したとすると、大体、スマッシュを打つ方が7, 8点、レシーブのみの方が2, 3点という結果になる、と思っています (実験したことないのでどうなるかわかりませんが、、、。女子やおじさんでは状況が異なるかもしれません)。これを信じるならば、点を取りたければとにかくトップアンドバックで攻め続ければ良い、ということになります。そして、それは

  1. 球を上げさせて攻撃の形を作る
  2. 攻撃し続ける

と2段階に分けることができます。以下、それぞれについて詳しく述べたいと思います。

球を上げさせるには

相手に上げさせるには、ネットより低い位置で打たせれば基本的によいです。では、単純にネット前に落とせば良いかというと、そうではありません。ネット前に落とすということは、必然的に球速が遅くなります。すると、自分が打ってからネットを越えるまでの時間が長くなり、その間に相手は色々な判断ができます。相手もこちらに対して上げさせようとしてくるので、場合によっては前に詰められて逆に上げさせられてしまうこともあります。

ではどうするのか、それは先ほども触れましたが、相手の判断する時間、余裕を奪えば良いのです。そして、そのためにはより早く球に触る、つまりタッチを早くすれば良いのです。

しかし、タッチを早くするというのは非常に難しい問題です。相手の時間を奪うということは、自分の時間も無くなることになります。だから、こちらも素早く次の準備をしなければならなくなるのですが、これは場合によっては強靭なフィジカルが求められます。また、相手の球が右にくるのか左にくるのか、前にくるのか後ろにくるのか分からない状況でタッチを早くしようと思うと、これもまた、強靭なフィジカルが求められます。そして、どのくらい早くすれば十分なのかがすごく分かりにくいです。さらに、「こうすればタッチが早くなる」という普遍的な答えはなく、それぞれの状況で個別に工夫、練習する必要があるように思います。

そこで、どのくらい早くすれば十分なのかという観点で、良い指針となる考え方を紹介します。それは、「常に相手がギリギリ攻められない球を打ち続ける」です。つまり、相手が攻めに繋げられない球を打たなれけばいけない、厳しい球を打つよりもやさしい球を打った方が、こちらにとってはミスしにくいし余裕ができる、これらを両立できる丁度のとこを狙う、という考え方です。そして、相手に隙ができるまでねばります。相手よりタッチが早ければ、これは多分余裕でできます。逆に、タッチが遅いとかなり難しくなります。ですので、これができるくらいタッチを早くすることを目標にすると良いのではないかと思います。

この考え方は韓国の李龍大 (イ・ヨンデ) 選手のプレーを見ていて思いつきました。なので、李龍大選手の動画を参考にすると良いと思います。(ただし、これは私が勝手に思ったことであって、ご本人がそのような考え方でプレーしているか分かりません。)

「上げない」ではなく「上げさせる」

「上げないダブルス」というコンセプトをよく耳にしますが、これは個人的にはよくないと思っています。なぜなら、それには主観的、つまり「こちらが上げない」という観点しか含まれないからです。また、なぜかこのコンセプトには、低空戦で攻めきる、ドライブで押し切るのが格好いいという価値観も含まれているように感じます。この二つが合わさると、負けた理由を、自分のドライブの精度が悪かった、威力が足りない、のように考えてしまいます。しかし、それらは練習で伸びづらく、日々のコンディションにかなり影響されるため、勝利にはつながりません。一方、上げさせるというコンセプトであれば、相手を含めた視点で状況を把握することができますし、ドライブだけでなんとかしようとも思えませんので、そのような事態は回避できます。

インドネシアのスカムルジョ選手はドライブでガンガン攻めるイメージがあるかもしれませんが、ピンチになるとかなりキッチリ上げさせます。動画を2つ紹介します。

VS  LI /LIU: https://www.youtube.com/watch?v=wTuEOeiHzLs&t=3490s

VS ENDO /WATANABE: https://www.youtube.com/watch?v=cFW-I7T_ATY&t=4215s

VS LI /LIUの方は58:15ぐらいからの2ラリーどちらもネット前に落としています。そこから後は余裕が出てきたのか、いつも通りはちゃめちゃなプレーをしています。VS ENDO /WATANABEの方は1:10:16から終わりまで基本的に落として上げさています。遠藤渡辺ペアがほぼスマッシュを打てていないのが印象的です。これは遠藤渡辺ペアがわざと上げているからではありません。かなり積極的に上げさせようとしてますが、ほぼ防がれています。遠藤渡辺ペアはかなりレシーブしてますが、それでも15-11から18-19までの得失点は3得点8失点です。ちなみに、18-19から20-19までの2点は遠藤渡辺ペアの攻撃によるものです。

攻撃し続けるには

このトピックでひと記事書けるくらい書くべきことがあるので、今回は粗く説明するのみとします。基本的には準備をしっかりしろという内容です。

球を上げさせてトップアンドバックになったら、トップアンドバックを維持することに注力して下さい。維持しているだけで点が入る可能性が高いです。レシーブ側の返球は

  1. クロスロングリターン
  2. ドライブリターン
  3. ショートリターン

の3つを対策を対策しておけば十分だと思います。クロスロングリターンについては、まず反応できるように、スマッシュを打った後の準備をしっかりして下さい。そして、体勢が苦しかったら、カットスマッシュ気味にして沈めるか、真ん中に打つかして、きついリターンが来ることを避けて下さい。そして、最も重要なのが、次の準備をしっかりすることです。体勢が崩れたときこそ、次の準備を意識して下さい。

ドライブリターンに関しても、大事なのは準備です。早くタッチすれば普通に落とすだけでなんとかなります。逆に差し込まれてしまうと、上げるしかなくなります。早くタッチできるように打った後の準備をしっかりして下さい。

ショートリターンの対応は前衛の仕事です。とりあえずネットに返して下さい。相手がネット前に詰めてきていても、球が浮きさえしなければ、きついプッシュは打たれません。プッシュを打たれそうでも、意外と大丈夫です。そして、プッシュがこなさそうなら、その後の相手のネットを潰せるように、プレッシャーをかけて下さい。

レシーブにまわってしまったら

レシーブにまわってしまったら、攻めようとかいい球打とうとか考えないで、とにかく返すことに徹して下さい。それで点を取られてしまったなら、レシーブ力の問題ではなく、球を上げさせられなかったことが原因だと思って下さい。球を返している間にチャンスが巡って来ることがありますが、それはただのラッキーであって、レシーブ力のお陰ではありません。レシーブで点を取ることは攻撃して点を取るより3~4倍大変です。レシーブ力がなくて負けた、あるいは勝ったと思うことは絶対に避けて下さい。

まとめ

まとめると、攻撃した方が点数が取れるので、とにかく上げさせて攻撃し続けることに注力するべきだということでした。一応レシーブにまわってしまった場合についても書きましたが、そうなったらもう点が取られてしまったと思うぐらい、上げさせることに徹底して良いと思います。あえて考え方を偏らせてしまった方が色々発見しやすいと思います。